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はじめに
骨格筋培養が筋発生の研究に果たした役割は非常に大きい。骨格筋細胞は最も劇的な形態発生を行なう細胞型の一つであり,古くから多数の研究者の注目するところであった。培養下においても,未分化な細胞に始まって,筋原線維で充たされた多核巨大細胞が形成される。生体内におけると同様の形態発生が進むにつれ(図1,2,3),筋細胞としての分化の開始,収縮蛋白の合成と筋原線維形成,多核化,細胞延長,膜系の形成などと筋発生に関する出来事の一つ一つが興味ある問題となる。さらに,筋発生について得られた知見は細胞分化全般の理解にも役立っている。
古くから,組織片培養が行なわれてきたが,最近は単離細胞による単層培養が広く普及している。組織片培養は操作が簡単であるほか,ごく少量の材料で足りる点が有利である。しかし,細胞分化を研究する上にはいろいろ不便な点がある。通常,エンブリオの筋組織を細切し,そのまま培養する。組織片(explant)から細胞の伸び出しや遊出が見られ,培養2,3日で新らたに細長い多核筋細胞が組織片周辺に放射状に形成される。培養が進むと,筋細胞は太く長くなり,核数も増し,1週間もすれば細胞内に明瞭な横紋を示す筋原線維が観察されるようになる。
Morphogenetic events during skeletal myogenesis in vitro were described with special reference to cell differentiation. The muscle culture has been an important tool for studying the myogenesis. In the myogenic lineage, the precursor cells undergo a stepwise differentiation through quantal mitoses, until they give rise to terminal myoblasts, potent cells to fuse and synthesize specific con-tractile proteins and enzymes. The terminal myoblast which has completed a genetic program for differentiation may undergo proliferative mitoses depending on certain environmental conditions.
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