論述
頸髄損傷患者の現状と将来—全国労災病院の調査から
赤津 隆
1
Takashi AKATSU
1
1九州労災病院整形外科
pp.419-424
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904693
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はじめに
脊髄損傷患者に対するリハビリテーションの進歩は,1964年東京パラリンピック以前と現在では隔世の感がある.特に職業的リハビリテーションの整備は,多くの胸腰髄損傷患者の社会復帰を実現し,その生活および労働能力も十分社会に認められるようになつてきている.しかしながら一方では,病院におけるactiveなリハビリテーションについてゆくことのできない,きわめてactivityの低い頸髄損傷や高度の頭部外傷患者は,なんら対策もなく,後の保護施設も考慮されず病院に止まり,次第に増加しつつある.
この傾向は,胸腰髄損傷患者の病院における回転が著しくなつた近年益々明らかとなり,頸髄損傷発生増加の傾向とも相まつて,頸髄損傷患者の占める率は次第に増加し,最近では看護にも影響するようになつてきている.
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