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全国の労災病院35施設の外科と全国労災院外科医師210人を対象とし、クリニカルパス(パス)の現状についてアンケート調査を行った。アンケート回収率は病院外科30/35、外科医師155/210であった。病院背景としては、オーダリングが52%の病院で導入されていたが、電子カルテ、DPCはまだ導入されていなかった。外科病棟数としては40床台が35%、50床台が25%であった。外科医の数は6~7人が38%、4~5人が21%であった。パス導入目的として、医療の標準化、在院日数の短縮、チーム医療が主であった。パス作成は医師と看護師で行われており、他職種の参加は殆どなかった。クリニカルパス開始時期は2000年にピークを認め、現在全ての労災病院外科でパスが開始されていた。パス開始疾患はヘルニアが17施設(58.6%)と多く、続いて腹腔鏡下胆嚢摘出術が14施設であった。現在使用しているパス数は6~10種類が一番多く、7割が6~10種類以下であった。全入院患者に対するパス使用率は半分以上が30%以下で、50%以上は10%であった。パス使用頻度は66%の病院で増加してきていた。パス導入により72%の病院で在院日数の短縮が達成され、平均在院日数は15~21日が45.7%で、22~28日が28.6%であった。パスの課題として、バリアンス分析と活用方法が42.9%と一番多く、続いてバリアンス収集法、医師の協力が28.6%、パスのIT化20%であった。パスを使用した外科医の感想は、56%がよいと感じ、19%がとてもよいと感じていた。パスに対する満足度は12%が満足、68%がまあまあ満足で、外科医の7~8割はチーム医療・患者満足度・経済効果・医療の標準化にパスが有効と考えていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007