カンファレンス
骨腫瘍—これはなんでしよう(34)
古屋 光太郎
,
骨腫瘍症例検討会
pp.535-537
発行日 1970年7月25日
Published Date 1970/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904426
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A:患者は47歳の男性で中学校教員です.昭和43年2月ごろより時々上肢のしびれ感,項部痛がありましたが,昭和44年4月ごろより症状が漸次増加し,持続する様になり,近医を受診し頸椎カリエスの疑いありといわれました.同年8月某大学整形外科を受診,消炎鎮痛剤の投与を受けていましたが軽快しないため,11月6日当科を受診,頸椎の異常を指摘され入院しました.入院時両前腕のしびれ感を訴えておりましたが,知覚障害,筋力低下,腱反射の異常などなく,また頸椎棘突起の圧痛,叩打痛もありませんでした.胸腹部にも異常なく,血液一般検査,血清生化学検査はすべて正常,ワ氏反応陰性,血沈1時間6mmでした.入院後持続牽引によりしびれ感は著明に緩解しましたが,炎症であるのか,あるいは腫瘍であのるか,診断不明のまま,まず抗結核療法を開始しました.第1図は昭和44年11月当科入院時のX線像で,第2頸椎には骨硬化の伴う破壊像があり,棘突起は原位置にあるも椎体は前方に辷り,椎弓は消失しています.椎体前部の軟部組織にも病変が波及しているようです.第3頸椎も一部破壊されていますが,椎間板の狭少はありません.断層写真(第2図)でもほぼ同様所見を示しています.しかし45年1月初めに撮影したX-Pで骨破壊の進行を認め.腫瘍を考えて試験切除術を試みることにしました.
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