カンファレンス
骨腫瘍—これはなんでしよう(18)
古屋 光太郎
1
,
骨腫瘍症例検討会
1東京医科歯科大学医学部整形外科学教室
pp.162-165
発行日 1969年2月25日
Published Date 1969/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904044
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右腸骨に破壊吸収像
A:患者は23歳の男性で,昭和41年の12月上旬に,右下肢のつけ根に筋肉の突張るような疼痛を感じたことがあるが,特に治療せずに治つた.昭和42年3月初旬,朝起きたら,急に右下肢のつけ根がシビレてしまい,マッサージおよび湿布で軽減しました.3月中旬には右鼠径部より大腿前面にかけて神経痛様疼痛とシビレ感が毎日起るようになりました.4月初旬には微熱が続くようになり,右肩にも痛みを訴え,近医を受診しました.赤沈値の亢進が認められましたが,胸部レ線像に異常なく,神経痛の治療を受けました.4月下旬には,原因不明ですが咳が出るようになり,その際,右股関節にひびいて,激痛を感じるようになりました.
5月10日,本学整形外科外来受診し,レ線写真は第1図のごとく,右腸骨が破壊吸収され,溶骨性の悪性骨腫瘍,例えば,Fibrosarcomaのごときものを疑い,エンドキサン100mg,ブレドニン10mg内服,イルガピリンの注射で疼痛が消失しました.5月中旬,当科に入院し,動脈撮影を行なつた後,試験切除術施行,肉腫の診断のもとに,マイトマイシンCの動脈内持続注入を行ないました.更に,7月10日より,深部照射を行ないましたが,8月末には,呼吸困難におちいり,死亡しております.
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