カンファレンス
骨腫瘍—これはなんでしよう〔8〕
骨腫瘍症例検討会
pp.358-365
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908460
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症例
A:症例は51歳の女性で職業は小学校の雇員です.主訴は左下腿無痛性軟部腫瘤であります.現病歴ですが,去る昭和31年夏に左脛部に母指頭大の無痛性軟部腫瘤が突出してきたということで,私どもの病院を受診しております.当所の所見でなんら悪性所見なく経過もいたつて緩慢なところから,経過観察ということで患者を帰しました.その後腫瘤が急速に増大成長する徴もなく,疼痛もなかつたので放置して来院しませんでした.ところが昭和42年夏になり腫瘤が増大したということで参りました.臨床所見としては,全身一般状態良好であり,局所所見として視診で左下腿前面脛骨に沿つて長楕円状の軟部腫瘤を認めます.静脈の怒張がありますが,炎症症状,硬結などはありません.皮膚,骨との癒着もありません.循環障害,知覚異常もありません.しかし仮性波動を僅かに認めます(第1図).レ線所見でも骨に変化は認められません.肺野もきれいです.動脈撮影ではよい写真がとれなかつたのですが,特に悪性像は認められないようです(第2図).またその他一般検査所見は正常範囲内です(第1表).それで一応良性腫瘍と考えてあけて見たわけです.
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