シンポジウム 骨肉腫の治療および予後
四肢悪性腫瘍の制癌剤局所灌流療法
阿部 光俊
1
Mitsutoshi Abe
1
1東京大学整形外科
pp.534-539
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904238
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われわれの教室では四肢の骨肉腫にたいして,以下のごとき方針で治療を行ないます.患者を発見したら,小形の人工心肺(小形DeBakey型ポンプ(流量50〜800ml/min)および塩化ビニール製直立二重円筒型酸素化装置(回路容量600ml))を用いてNitromin(NMO)5mg/kgまたはMitomycin C(MMC)1mg/kgによる患肢の局所灌流を30分ないし1時間行ない,2週後患肢を原則として切断しますが,時に原病巣が限局性,発育緩慢で,解剖学的に広範囲切除術が可能なら,切断せずに切除するものもあります.その後,全身状態の回復を待つて,肺転移予防策としてMMCによる気管支動脈動注法を1年以内に数回実施します1)2).われわれの行なつている動注法はMahajan & Clifftonカテーテルを股動脈より逆行性に胸部大働脈に挿入し,カテーテルの尖端が第4胸椎の高さに達するようにして,カテーテルの先についている上下のCuffを膨らませ,大動脈の血行を一時的に遮断します.両Cuffの中間よりMMC 0.6mg/kgを注入し,上のCuffを直ちに縮小させ,10数分後,下のCuffも脱気します.気管支動脈は両Cuffの間から分枝しているので,同動脈内のMMCは非常に高濃度の状態で肺に達し,これが肺の微細転移巣に有効に働らくことを期待するわけです.
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