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特集 脊椎脊髄病学最近の進歩(第30回日本脊椎脊髄病学会より)
脊髄内痛覚伝達経路における痛覚感受性受容体の役割
The Role of Pain-Sensing Receptors in Spinal Cord
中塚 映政
1
,
玉置 哲也
1
,
吉田 宗人
1
,
山田 宏
1
,
中川 幸洋
1
,
武田 大輔
1
,
筒井 俊二
1
Terumasa Nakatsuka
1
1和歌山県立医科大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Wakayama Medical University
キーワード:
capsaicin receptor
,
カプサイシン受容体
,
ATP receptor
,
ATP受容体
,
spinal cord slice preparation
,
脊髄スライス標本
Keyword:
capsaicin receptor
,
カプサイシン受容体
,
ATP receptor
,
ATP受容体
,
spinal cord slice preparation
,
脊髄スライス標本
pp.351-358
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903510
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抄録:今回,脊髄スライス標本からパッチクランプ記録を行い,近年注目されるカプサイシン,VR1受容体ならびにATP,P2X受容体の脊髄後角痛覚伝達系への関与を検討した.VR1受容体とP2X受容体は,異なった特定の一次求心性線維終末に発現,作用し,興奮性伝達物質であるグルタミン酸の放出を増強することにより,脊髄後角細胞に興奮増強効果をもたらした.また,VR1受容体を介する脊髄第Ⅱ層細胞への興奮増強効果は,多シナプス性に深層の脊髄第Ⅴ層細胞へ伝達されることから,解剖学的に解析困難な脊髄後角表層と深層の細胞間に機能的な興奮性シナプス結合が存在することが明らかになった.さらに,カプサイシンとATP感受性入力は最終的に脊髄第Ⅴ層細胞に統合され,しかも,これらの異なった2つの興奮性入力が干渉し,脊髄第Ⅴ層細胞の興奮性を高めた.したがって,両受容体は脊髄痛覚回路において重要な役割を果たすことが示唆された.
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