Japanese
English
特集 痛みとリハビリテーション
痛覚の生理学
Physiology of Pain.
新宮 興
1
,
大澤 正巳
1
,
浦部 伸方
1
,
森 健次郎
1
Koh Shingu
1
,
Masami Oosawa
1
,
Nobukata Urabe
1
,
Kenjiro Mori
1
1京都大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, Kyoto University.
キーワード:
痛覚
,
鎮痛機構
Keyword:
痛覚
,
鎮痛機構
pp.685-691
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104382
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緒言
近年,鍼麻酔や末梢の電気刺激による除痛効果,脳内麻薬受容体の発見,さらに内因性モルフィン様物質の発見等により,中枢神経内には痛みを感じるだけでなく能動的に痛みを抑える機構も存在することが明らかにされた.しかし,今日のこのような神経生理学あるいは薬理学の成果にもかかわらず,痛覚の本体は十分解明されておらず,痛みに対する完全な治療法も確立されたとはいいがたい.
痛覚は,感覚器における刺激エネルギーの受容(reception),電位変化への変容(transduction)による求心線維の活動電位の発生,上行性の神経情報の伝達(transmission),大脳皮質における感覚(sensation),さらに他の感覚や過去の経験との総合より成る知覚(perception)の各段階が含まれている.この各段階において,上行性・下行性に抑制と促通による修飾がかかり,また反射という出力が生じている.
本稿は,痛覚に関する近年のこれら生理学的知見を解説するものである.
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