視座
卒前教育について考える事
乗松 尋道
1
1香川医科大学整形外科
pp.115
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901293
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卒前教育のカリキュラムが昨年より少しずつ変わって,来年からは臨床実習が5年次の4月から始められようとしている.それに伴って系統講義の時間数が15回に減らされてしまった.私が琉球大学医学部に在職していた頃の半分の回数しかなく,整形外科学全てを系統講義でという考えは捨て,入門編として要点のみ教えるほかない.言うまでもなく,卒前教育では全ての科が必修であり,卒業してどんな専門に行こうとも,彼等の多くが選択する卒後教育はストレート方式であるから他科の患者を目の前にしてその診断技術を体験し,治療法について学習する機会は学生の間しかないのである.
概して臨床講座は忙しく,全てが学生の講義に情熱を持ってやっているとは限らず,今年も整形外科の授業を始めた時には出席率は悪く,授業中に出たり入ったりする学生が何人かはいた.そこで最初の授業では整形外科疾患の中から学生が興味を起こしそうな一般外傷,スポーツ外傷などを説明し,つぎの授業からスライドの中に様々な社会問題に関するものをはさんで楽しい話をしたり,1/3の時間はスライドは使用せずに私が階段教室を上がり下がりしながら学生に主に解剖学の知識について質問を試みたりした.次第に教室の中は落ちつき出席率も良くなり笑いが出るようになった.
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