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あとがき
仁木 久照
pp.124
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202887
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「ブラック・ジャック」の新作を,生成AIを使って制作するプロジェクトが完了したというニュースを目にしました.ストーリーや新キャラクターのデザインは生成AIとやり取りし,そこで出てきたアイデアからクリエーターたちが手を加えて制作を進めたとのことです.新作がとても楽しみです.一方で,このプロジェクトには「AIが人間の『創造性のサポート』に貢献できるのか,その可能性と課題を探る」という「研究」の側面もあったようです.結果として,「AIは無難なアイデアが多いので,『攻める姿勢』はまだ弱いと感じた.ただ,タイトルや人工臓器の名称のアイデアを提案したのには驚き,AIと人間が切磋琢磨してタッグを組んでいけば面白いと思えるような作品が出てくると思った」,「誰もがAIとコラボしてAIのよさを引き出せる,自分を高められるかというとそうではないと感じた」,「AIが生成したものをただ受け入れるだけではなく,生成された内容に対して人間が創造性を高めて反応していかないといかせないと思った」,「今のAIは苦労しなくてもそれなりのものは生成できるし,それだけでも楽しいが,魂を込められるかどうかは,最後は人間次第と感じた」などの意見が出たようです.
AIが人類の知性を超えても当面は半導体などのハードウェアを自ら作ることはできず,人間を必要とするとされています.つまり,互いに支え合う「相利共生」の時代はしばらく続くのでしょう.AIの想像を超える急速な進歩に関するニュースばかりが目立つ今日この頃,なんとなく安堵したニュースでした.
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