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あとがき
吉川 秀樹
pp.1148
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201248
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あとがき
整形外科の基本的手技の1つである骨移植は,他臓器・組織の移植と比べても,その歴史は最も古く,20世紀初頭からすでに臨床応用されてきました.自家骨移植はもちろんのこと,同種骨移植であっても,細胞成分が少ないという利点から,組織抗原の一致や免疫抑制剤を考慮することなく,整形外科の各分野で,広く臨床使用されてきました.一方,1980年代から,本邦を中心として,自家骨移植に代わるバイオマテリアルとして,セラミックス人工骨の研究・開発が始まりました.現在では,連通多孔体のハイドロキシアパタイトやβ-TCPなどの優れた人工骨が次々と発売されています.
セラミック(ceramic)という言葉は「焼き物の,陶磁器の」という形容詞です.セラミックス(ceramics)には「s」が付いていますが,陶磁器という単数形の名詞です.これはギリシャ語のケラモス(keramos,粘土を焼き固めたもの)が語源となっています.セラミックスの歴史は非常に古く,紀元前2300年頃にすでに粘土を焼くことにより,容器や飾り物ができるということが知られています.中国の兵馬俑や古代ローマ遺跡においても,多くの焼き物をみることができます.日本の陶磁器産業を世界水準に発展させたのは,明治時代に活躍した森村市左衛門です.現在までTOTO,日本ガイシ,日本特殊陶業,ノリタケなどの森村グループは,洋式トイレに始まり,食器,美術品など,世界トップの技術,シェアを有しております.のちの京セラなど関連企業の発展に繋がっていきました.すなわち,人工骨を含めた陶磁器産業は,勃興当初から,わが国が世界をリードする分野の1つです.
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