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昨年より,伝統ある本誌の編集委員を務めさせていただいております.大阪も,寒い毎日が続いておりますが,先日,第20回日整会専門医試験が,大阪リーガロイヤルホテルにおいて開催されました.今年は20年という区切りでもあり,専門医試験委員会でも,今後の専門医試験のあり方,国民に信頼される専門医像など,改めて考えさせられました.今年度は,過去最多の690名が受験し,これに対し約200名の試験委員に口頭試験を担当していただきました.専門医試験の基本方針は,「筆答試験で整形外科知識を問い,口頭試験で総合的知識,思考過程,倫理性を問う」となっております.120問の筆答試験と15分(×2)の口頭試験によって,合否が判定されます.試験後の受験者アンケートでは,「筆答試験がますます難しくなっています」との意見がありましたが,「整形外科全般の勉強ができて感謝しています」というポジティブな意見も聞かれました.特に,動画を交えたビデオでの「関節リウマチの手の伸筋腱断裂」,「腰部脊柱管狭窄症」の設問は好評でした.将来の優れた専門医の育成のためには,充実した試験問題の作成はもちろんのこと,整形外科手技など実技試験の実施が検討されるべきであると感じました.
さて,今月号の誌上シンポジウムでは,北海道大学の三浪明男教授にご登場いただき,「変形性手関節症の治療」が取り上げられました.最初にSLAC(scapholunate advanced collapse) wrist,SNAC(scaphoid nonunion advanced collapse) wristの発生機序について,真偽は別としてWatsonの「スプーン理論」の解説と,これに対する著者の考察が掲載されています.次に,変形性手関節症に対する各種治療法の適応,選択など,第一線で活躍中の,手の外科のエキスパートによる詳細かつ専門的な解説がなされています.いずれも大変興味深い内容になっており,手の外科を志す整形外科医のみならず,日常診療に携わる一般整形外科医に有益な情報を提供するものと考えます.論述では,「思春期特発性側弯症女児における骨減少症」「骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の自然経過」,「C6,C7項靱帯付着部温存は椎弓形成術後の前弯維持に有効である」が報告されました.今後の超高齢化社会に向かって,知っておくべき知見と今後の新たな課題が述べられています.また,「臨床研修医のための整形外科」「医者も知りたい『医者のはなし』」「小児の整形外科疾患をどう診るか?」も好評連載中ですので,是非ご一読ください.
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