連載 慢性疼痛の治療戦略 治療法確立を目指して・16
—合併症への対応—NSAIDsの使用による心血管系への影響
坂本 信雄
1
,
竹石 恭知
1
Nobuo SAKAMOTO
1
,
Yasuchika TAKEISHI
1
1公立大学法人福島県立医科大学医学部循環器内科
pp.964-969
発行日 2017年10月25日
Published Date 2017/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200931
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はじめに
1876年,リウマチ熱に対してサリチンを用いた初めての治療報告がLancet誌に掲載され1),リウマチ性疾患治療への非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)時代が幕を開けた.1899年にアスピリンが発売されて以降,次々に新しいNSAIDsが開発されたが,NSAIDsの鎮痛,解熱,抗炎症および血小板凝集抑制作用がシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるプロスタグランジン類(PGs)やトロンボキサン(TX)A2の生合成の抑制と判明したのは1971年になってからである2).NSAIDsの適応は拡大し,今や診療科を問わず頻用される薬剤となっている.
副作用のないNSAIDsは存在しない.NSAIDs開発の歴史は副作用との戦いの歴史である.しかし,NSAIDsの使用による心血管系への影響については,ほとんど認知されていないのが現状であろう.本稿ではこれまでの報告をもとに,循環器内科医からみたNSAIDs使用における心血管系への留意点について述べてみたい.
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