連載 慢性疼痛の治療戦略 治療法確立を目指して・15
—合併症への対応—NSAIDsの使用による消化管での留意点
坂本 長逸
1,2
Choitsu SAKAMOTO
1,2
1日本医科大学
2医療法人社団行徳会
pp.960-963
発行日 2017年10月25日
Published Date 2017/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200930
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はじめに
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が消化管粘膜傷害を惹起することが示されてから久しい.上部消化管傷害については発症機序の詳細が明らかにされており,その予防戦略もほぼ確立したと言ってよい.しかし,高齢者の増加に伴いますますNSAIDsの必要性が高まりつつあることに加え,必ずしもガイドラインに沿った診療が実臨床では行われていないため,いまなおNSAIDs服用に伴う消化管出血や消化性潰瘍が大きな問題となっている.本邦でも消化管傷害が少ないシクロオキシゲナーゼ(COX)2選択的阻害薬セレコキシブが使用可能となり,消化性潰瘍既往歴がある患者については消化性潰瘍再発予防にプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が可能となったため,NSAIDs起因性消化管傷害の予防策が保険診療面でも整いつつある.一方で,PPI併用によっても予防できない小腸粘膜障害も明らかにされており,臨床的な課題となりつつある.本稿では,このようなNSAIDsによる上部・下部消化管傷害の実情とCOX-2選択的阻害薬を中心とした予防策を紹介する.
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