連載 慢性疼痛の治療戦略—治療法確立を目指して・1【新連載】
運動器に対する疼痛管理の重要性—廃用変化の予防を中心に
志波 直人
1
Naoto SHIBA
1
1久留米大学医学部整形外科学教室
pp.952-956
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200655
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
慢性疼痛に対して再び痛みが出るという恐怖心から破局的思考が発生すると,これが活動低下や不動に繋がる.このような痛みに対する過剰な回避行動は,筋力低下・筋萎縮,骨密度低下,関節拘縮などの廃用性変化を来し,これによって痛みが増悪して,痛みにさらに過敏になるという痛みの悪循環が生じる(図1)1).
廃用症候群は,安静臥床や不活動状態が持続することにより生じ,運動器系では,筋萎縮,関節拘縮,骨萎縮が発生する.廃用症候群はこのような運動器系の他に,循環器系,呼吸器系,内分泌系,泌尿器系,消化器系,皮膚系,そして感覚障害,抑うつなど精神・神経系と全身に起こり,しかもこれらは,相互に関係し悪循環する2).
本稿では,運動器,とくに筋と骨の廃用萎縮とその予防について述べる.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.