Japanese
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特集 リハビリテーション医学の基礎―骨・関節系
廃用と血流量―廃用による骨・筋の変化と大腿骨血流量との関係
Relations between Bone and Muscle Atrophy by Disuse and Blood Flow of Femur.
鈴木 はる江
1
Harue Suzuki
1
1東京都老人総合研究所自律神経部門
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
キーワード:
大腿骨血流量
,
筋血流
,
廃用
,
骨萎縮
Keyword:
大腿骨血流量
,
筋血流
,
廃用
,
骨萎縮
pp.321-325
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108349
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はじめに
閉経後の女性ホルモンの減少,カルシウム摂取量の低下1),あるいは長期の入院や宇宙飛行による無重力2)など,さまざまな原因で骨萎縮や筋萎縮が起こることが知られている.実験的にも,ラットを用いて,卵巣摘出3,4).カルシウム摂取量低下5),ギプスによる後肢の不動処置6,7),尾を釣り上げて後肢に体重がかからないようにする無荷重処置8,9)などにより,骨の重量やカルシウム含有量,骨格筋重量などが著しく低下することが報告されている.
運動低下や廃用によって骨萎縮や筋萎縮が起こる機序の一つとして,骨および筋の血流低下が挙げられる.逆に,運動や訓練により骨および筋の血流が増加することも報告されており,運動や訓練による骨や筋の機能低下の回復に血流が関係している可能性も考えられる.しかし,骨や筋血流を安定的に測定し,その血流調節機序を調べることはヒトでは困難であり,実験動物を用いた基礎研究が不可欠である.
本稿では,運動低下や廃用によって骨や筋が萎縮した際に,骨の血流にどのような変化が起こっているのか,また,逆に運動や訓練によって骨血流や筋血流がどのように変化するのかについて,実験的に調べた研究を紹介し,骨や筋の血流が廃用性萎縮に関与するメカニズムについて考えてみたい.
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