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あとがき
内藤 正俊
pp.818
発行日 2012年8月25日
Published Date 2012/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102438
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今月は熱中症のピークで,不帰の転帰をとる年配の犠牲者が増えています.確かにわが国では65歳以上の高齢者の割合が世界に類を見ないスピードで高くなっています.1950年,4.9%であった高齢化率が100年後の2050年には8倍を超える39.4%に達すると推計されています.平均寿命も延びています.1950年では男性58.0歳,女性61.5歳でしたが,2050年の予測は男性83.6歳,女性90.3歳となっています.20歳から64歳までの現役世代と高齢者の比の推移は,1950年では10対1であったのが2005年に3対1となり,2050年には1.2対1になる見込みです.驚くべき勢いで少子超高齢社会に向かっています.
さて,本号のシンポジウムは,競技レベルのスポーツ選手に起こる「難治性足部スポーツ傷害の治療」です.日本を代表する専門家により,主な足部傷害の解剖学的特徴から術後のリハビリテーションまでわかりやすく解説されています.判断に迷うハイレベルのアスリートでの治療方法のコツや,スポーツへの復帰時期についての知識を得る絶好の機会です.急増している人工股関節置換術の術後の股関節機能の改善と排尿機能との関連を検討した論述も掲載されています.患者の訴えに基づいた斬新な視点での研究成果です.“手術手技 私のくふう”には股関節外科学の泰斗であられる糸満盛憲先生の創意工夫に満ちた論文もあります.「ビスホスホネートによる非定型大腿骨骨折」も“整形外科知っているつもり”で取り上げられています.超高齢社会となっているわが国では必須の知識です.連載,臨床経験,症例報告にも豊富な話題が満載です.
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