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あとがき
内藤 正俊
pp.504
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200227
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整形外科医にとって5月最大のイベントは日本整形外科学会学術総会です.今年は5月21日から24日までの4日間,神戸市で開催されます.吉川秀樹会長は世界的,未来的な視点からの新たな発見や発明,医療貢献が強く求められている現況を鑑み,「世界へ 未来へ Be innovative!!」をテーマとして掲げられています.時を同じくして国立研究開発法人「日本医療研究開発機構(AMED)」が先月1日に発足しました.従来,基礎研究は文部科学省,臨床研究は厚生労働省,実用化や製品化は経済産業省と縦割りでしたが,AMEDはこれらを効率的で一元的に管理する司令塔としての役割が期待されています.医療分野の技術革新による新産業創出は現政権の成長戦略の柱の一つとしても取り上げられており,今回の第88回日本整形外科学会学術総会は正に時宜にかなったテーマです.
整形外科領域での代表的な技術革新は,関節外科の在り様を一新させた関節鏡です.生みの親は,1931年にご考案なさった東京大学整形外科の高木憲次教授と1935年に渡辺式21号型関節鏡を創出なさった渡辺正毅先生です.現在,膝関節と肩関節の診断系から治療系までを網羅し,他のほとんどすべての関節でも次々と活用されるようになっています.惜しむらくは,鏡視下手術の適応を拡大し続けているミニチュア化した道具や新規の手術操作は,主に欧米で開発されているため,大部分の機械器具は海外製品になっていることです.今後,日本版NIHであるAMEDが優れた研究とその成果の実用化を推進し,生まれも育ちも国産の技術革新が続出することを夢見ています.
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