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あとがき
富田 勝郎
pp.634
発行日 2008年6月25日
Published Date 2008/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101313
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今の季節,花と新緑に輝き,蝶や小鳥が楽しそうに飛び回る景色を眺めていると,なぜかわれわれにもファイトが湧いてきます.私たち整形外科医も日整会を中心に,まさに大忙しの学会シーズンです.学会場内で発表や討論を聴いていると,年齢差を忘れて「こうすればもっといいのかな,ああいう考えもありうるナー」などと,自分だけの空想の世界に浸ってしまいます.超多忙な毎日から逸脱したこのひと時こそが,日頃の臨床で気がかりだった疑問に答えを見つけたり,新しい着想を秘かに練ったりして楽しむることができる,“ぜいたくな知的ゲーム”の時間です.
しかし会場からロビーに出て,似た年代の先生方に会うと,どちらから言うともなしに「イャー,お元気?今は大学病院も経営,経営で疲れますよネー」「治療の沙汰も金次第じゃ,まともなディスカッションできないよね」「今の医療崩壊,だれが責任取るのだろう?」「この引き金となった初期研修医制度,なんとか軌道修正できないものかねえ」といった現実的なフラストレーションを吐き合う場になってしまいます.しかし,このようにお互いに苦労していることを確かめ励まし合うのも,また楽しからずや!安らぎと情報交換のまたとない機会なのです.
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