特別シンポジウム どうする日本の医療
日本の医療の危機
鈴木 厚
1
1川崎市立川崎病院地域医療部
pp.975
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100171
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大変な不況といわれる昨今,政治・経済はもちろん医療事故などの影響もあり,医療の評判もよくありません.果たして医者と患者との信頼関係は回復できるのでしょうか.日本の医療を各国の医療状況と比較しながら考えてみたいと思います.
日本の国民医療費は31兆円にのぼり,その内訳は本人負担が15%,保険が30%,事業主負担が22%です.地方と国は医療費全体の30%を負担していますが,政府はこの30%の部分を減らすことで,医療費を抑制しようとしています.厚生労働省は平成9年に「国民医療費は平成12年度に38兆円になり,22年度には68兆円になる」と予測値を発表しましたが,実際は平成12年度は30.4兆円にしかならず,その後は横ばい状態です.しかし,平成22年度には68兆円になるという予測値はいまだに訂正されておりません.また政府は,現在全体の3割を占める老人医療費が,将来は6割になると喧伝していますが,病気を持つ頻度の高い高齢者が増えるのですから当然のことです.
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