焦点 Crisis Theory
解説
危機理論発展の背景と危機モデル
小島 操子
1
1聖路加看護大学
pp.378-385
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200986
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はじめに
危機理論は,アメリカにおける社会的要請や予防医学,特に精神予防医学の観点から,急速に発展し,1960年代後半から1970年代前半にかけて,crisis center,電話相談(24時間誰でも自由に利用可)などとして,地域の人々に大いに活用されるようになった。つまり,人々の生活の都市化,核家族化,孤立化が進み,伝統的に家庭や地域社会の中で助け合いとしてもっていた緊急の処置,あるいは調整能力がなくなり,一方で,科学技術の発達はストレスを増大し,緊急の援助が必要になってきたということ,また,従来,病気,病人を対象としていた医学が,予防医学に目を向けるようになったことなどが,危機介入の発展につながったといわれる。
そして,看護領域においても,危機理論の導入は,患者ケアの新しい道を指し示すものとして推進され,わが国においても,実践,教育,研究に活用されるようになってきている。
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