FORUM グローバルヘルスの現場力・Vol.16
コロナ危機・ウクライナ危機下のパレスチナ難民
-――今グローバルヘルスに問われているもの
清田 明宏
1
1国連パレスチナ難民救済事業機関保健局長
pp.488-494
発行日 2023年2月11日
Published Date 2023/2/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28406488
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新型コロナウイルスの世界的蔓延(コロナ危機)はパレスチナ難民にも大きな影響を与えた.もともと社会的弱者である難民への影響は大きく,健康のみならず,社会・経済等生活のすべてに及んだ.パレスチナ難民を長期間支えてきた国際連合パレスチナ難民救済事業機関(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East:UNRWA,通称「ウンルワ」とよばれる)にとっても大きな試練であった.本稿では,コロナ危機下でのUNRWAのパレスチナ難民支援を,保健分野を中心に述べる.そしてその後のウクライナ危機にも触れる.この2つの世界的危機は,さまざまな国際的な不平等を引き起こし,グローバルヘルスの分野でも,ワクチンの不平等(inequity)配布や人道支援の偏りが生じた.今後これをいかに解消していくか,グローバルヘルスの本質が今問われている.
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