綜説・今月の臨床
Crohn病手術適応の変遷
更科 廣實
1
,
横山 正之
1
,
斉藤 典男
1
,
布村 正夫
1
,
幸田 圭史
1
,
滝口 伸浩
1
,
早田 浩明
1
,
芝崎 英仁
1
,
中島 伸之
1
Hiromi SARASHINA
1
1千葉大学医学部第1外科
pp.907-913
発行日 1995年7月20日
Published Date 1995/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905270
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I.はじめに
20年前にはまれとされていたCrohn病も,多くの症例報告と臨床的・病理学的研究により,次第にその疾患概念が確立し,病態の解明が進んでいる1,2).WHOのCIOM(Council for Interna-tional Organization of Medical Sciences)は,1973年に,「Crohn病は口腔から肛門に至る消化管のすべての部位に起こる肉芽腫性炎症性病変」と定義し,肉眼的に病変のみられない部位にもすでに小病変や生化学的変化が認められることが報告されてきた3,4,5).このように,全消化管に病変の発生しうる本疾患に対し,外科的治療のみで根治させることは不可能であり,このことは,これまでの手術予後の惨憺たる成績が物語っている6).
一方,Crohn病に対する保存的治療として,最も有力視されているのはIVHとED(elemental diet,chemical defined diet)である7).このような栄養管理の進歩に伴い,これまで手術適応と判断されていたCrohn病の多くに,保存的治療による長期観察が可能となってきた.さらに,病態の解明に伴う術式の変化とも相俟って,現在のCrohn病の手術適応は大きな変遷をたどっている.
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