病院めぐり
国立奈良病院外科
上田 泰章
pp.345
発行日 1995年3月20日
Published Date 1995/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905165
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奈良市は,修学旅行で訪れる東部の古い地域と大阪のベッドタウンである西部地域に分かれている.国立奈良病院は公園や神社仏閣に近く,東は春日原始林を背負った自然環境のよい位置にある.昭和43年に建築された病院で,基幹病院ではないため,部分補修を繰り返して一般診療を行っている.したがって,MRIは設置されておらず,最新の技術器具の導入は遅れているが,外科スタッフは医長2人,医員2人,レジデント3人で地域医療のニーズに応えるべく一生懸命に取り組んでいる.
当院の病床数は330床(含伝染病棟30床)で,外科はそのうち60〜70床を占め,診断から最終の結果まで一貫して患者のcureとcareを目標としている.取扱う疾患は「癌」,特に乳腺,消化器が主体であり,乳癌は最近の3年間では316例と年間100例以上の手術例があり,10年前より乳房温存療法を開始し,1991〜1994年では全症例の30%を占め定乳切は5〜8%と減少し,qualityの高い手術を心掛け,平成6年の近畿外科学会では「乳房温存療法」のシンポジストとして上田(外科医長:京府医大35年卒)が参加した.20年来,奈良県北部の乳癌検診にメイン医師として参加し,病院では乳腺一次外来を月曜日午後に実施し,早期乳癌の発見への努力と一般女性に乳癌の啓蒙を行ってきた.
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