特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧
Ⅸ.甲状腺・副甲状腺癌
甲状腺癌に対する甲状腺亜全摘術+頸部リンパ節郭清術
池田 佳史
1
,
高見 博
1
,
佐々木 裕三
1
,
高山 純一
1
,
栗原 英子
1
,
菅 重尚
1
,
新見 正則
1
,
小平 進
1
Yoshifumi IKEDA
1
1帝京大学医学部外科
pp.290-293
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904670
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はじめに
甲状腺癌は,組織学的に濾胞上皮より発生する分化癌である乳頭癌,濾胞癌と未分化癌および傍濾胞細胞より発生する髄様癌に大別される。髄様癌は基本的には甲状腺全摘が適応であり,未分化癌は手術の対象になる症例はごくわずかである.そのため甲状腺切除,リンパ節郭清術が奏効するのは乳頭癌,濾胞癌などの分化癌である.
甲状腺乳頭癌は甲状腺癌の約80%を占める.10年生存率は90%以上でありきわめて予後のよい癌であるが,その治療については,甲状腺全摘術とそれに引き続く放射線ヨード(131I)治療および生涯にわたるTSH抑制療法を全症例に対して推奨する欧米式の考え1)と,症例によっては甲状腺の切除範囲を縮小して,追加治療も行わないでよいとする日本で発展した考え方がある.
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