カラーグラフ 世界に向かう甲状腺疾患診療の新技術・4
甲状腺の内視鏡補助手術:アプローチの工夫
池田 佳史
1
,
高見 博
1
,
田島 厳吾
1
,
佐々木 裕三
1
,
高山 純一
1
,
栗原 英子
1
,
宮部 理香
1
Ikeda Yoshifumi
1
1帝京大学医学部外科
pp.255-259
発行日 2004年3月20日
Published Date 2004/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100559
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甲状腺疾患の開放手術による頸部の手術
創と皮弁の形成は,頸部の違和感や無感覚などの感覚の問題と硬結や肥厚性瘢痕などの整容性の問題が生じる.またときには,皮下縫合の癒着によって,嚥下時の引きつれや違和感を引き起こしてしまうこともある.このように頸部の手術創は整容性の問題だけではなく,患者のQOLを低下させている.
近年,外科領域の技術と器具のめざましい進歩により,内視鏡下に外科手術が行われることが可能となってきた.頸部の手術においても1996年にGagner1)が内視鏡下に副甲状腺摘出術を行って以来,急速に広まってきた.欧米では,従来の内視鏡下手術の利点である低侵襲という点が追求され,頸部の小さい創から内視鏡を利用して,手術操作腔をできるだけ小さくする手技が考案され好んで行われている2).
一方,日本では内視鏡下手術のもう一方の利点である整容性が追求され,頸部から離れた手技が考案されてきた3,4).筆者は,1999年に娘が腕を挙げて眠っている姿からヒントを得て,腋窩より甲状腺・副甲状腺の手術を行うことを開発した5).以降徐々に改善を加えて,現在教室では,前胸部6),腋窩アプローチ法5,7)による内視鏡下甲状腺切除術を行っている.それぞれの方法には利点と欠点があり,患者の要求に応じた術式を施行する必要がある.それぞれの手術手技とアプローチ法の特徴を紹介する.
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