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特集 ディベート★消化器・一般外科手術―選ぶのはどっちだ!
一般外科手術
テーマ8◆甲状腺癌に対する甲状腺切除
甲状腺癌に対する甲状腺切除:「亜全摘以下」の立場から
Thyroidectomy for thyroid carcinoma from the standpoint of “non-total thyroidectomy”
原 尚人
1
,
澤 文
1
,
周山 理紗
1
,
古屋 舞
1
,
島 正太郎
1
,
市岡 恵美香
1
,
田地 佳那
1
,
齋藤 剛
1
,
清松 裕子
1
,
井口 研子
1
,
池田 達彦
1
,
坂東 裕子
1
Hisato HARA
1
1筑波大学医学医療系乳腺・甲状腺・内分泌外科
pp.216-219
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104956
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亜全摘以下を選ぶメリットとしては,①術後甲状腺機能の維持,②術後合併症としての反回神経麻痺および③副甲状腺機能低下症の発生率の減少が挙げられる.デメリットとしては,①残存甲状腺からの再発の可能性,②術後の放射性ヨウ素による検査・治療が行えない,③術後のサイログロブリンが腫瘍マーカーとして有用でなくなる,という点であろう.
デメリットに対する考え方として,①については,残存甲状腺内の小病変は術前の詳細な超音波検査にて診断可能であり,見落とされるような潜在小病変は臨床的に意義がないと考える.②③については重要なポイントとなるが,甲状腺全摘が生命予後を改善するというエビデンスは確立されていない.むしろ低危険群では甲状腺全摘は予後改善に影響しないというのが定説である.ゆえにリスクの評価をきちんと行い,無用な全摘は避けるべきであると考える.
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