特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧
Ⅸ.甲状腺・副甲状腺癌
甲状腺癌に対する甲状腺全摘術+両側頸部リンパ節郭清術
吉田 明
1
Akira YOSHIDA
1
1神奈川県立がんセンター乳腺甲状腺外科(甲状腺)
pp.294-299
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904671
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はじめに
甲状腺癌は濾胞細胞由来である分化癌(乳頭癌,濾胞癌)ときわめて悪性度の高い未分化癌,傍濾胞細胞由来の髄様癌に分類される.頻度的には乳頭癌が圧倒的に多く全体の85%以上を占める.
甲状腺癌は細胞診などの検査により術前に組織型が判明していることが多く,それぞれの生物学的な特性を考慮して術式が選択される.甲状腺全摘術+両側頸部リンパ節郭清術は,癌の根治を目的として分化癌,髄様癌に行われるが,実際には進行した乳頭癌が対象となることが多い.また遺伝性の髄様癌は多中心性に発症し,しばしばリンパ節転移を伴うことからこの術式が標準的なものとなっている.未分化癌は,有効な治療がないのが現状であり,手術は一時的な局所コントロールとして意味を持つにすぎない.一方,発育が緩慢な分化癌の場合,たとえ遠隔転移が存在していても,局所のコントロールという意味や131I治療を目的として本術式が行われることもある.
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