カラーグラフ 腹腔鏡下食道手術・1
腹腔鏡下Nissen fundoplication
森 俊幸
1
,
杉山 政則
1
,
跡見 裕
1
Toshiyuki MORI
1
1杏林大学医学部第1外科
pp.795-801
発行日 2000年7月20日
Published Date 2000/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904143
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はじめに
食道逆流性疾患(gastro-esophageal reflux dis-ease:GERD)は,酸性胃内容の食道内逆流により,自覚症状,他覚症状をきたすものと定義される1).本邦においては,これまでGERDは欧米に比して少ないものと考えられてきたが,高齢化,生活様式の欧米化などの社会的要因と,内視鏡検査の普及や食道pHモニタリングの保険適用による診断能の向上により,臨床上の治療対象としての頻度が増加している.40歳以上の人口の約20%に胸やけが認められ,常に胸やけ症状を自覚するものは約1%とも報告されている.
GERDの症状および合併症は多彩である.自覚症状としては胸やけが最も定型的であり,そのほかに呑酸,げっぷ,胃のもたれ,嚥下障害などの症状がある.非定型的症状は食道由来のものでは,非心臓性胸痛(non-cardiac chest pain),嚥下痛,心窩部痛などがある.食道外の症状としては,喘鳴や夜間咳嗽などの呼吸器症状,咽頭痛,咽頭部違和感,嗄声,耳痛などがみられ,また逆流が口腔に及ぶものではう歯などの合併症もある2).
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