特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
逆流性食道炎に対するNissen手術の変法—Floppy Nissen fundoplication
三隅 厚信
1
,
村上 明利
1
,
原田 和則
1
,
赤木 正信
1
Atsunobu MISUMI
1
1熊本大学医学部第2外科
pp.786-787
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210029
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1956年Nissenによって紹介されて以来,胃底皺壁形成術fundoplicationは胃食道逆流の防止に対して有効であることは周知の事実である.また本術式によって形成されるflap valveは純粋に機械的に機能し,形成皺壁部の内圧上昇に対して受動的に反応していることが示されている.しかし,本術式は生理的および病的な逆流防止効果が過度であるが故に,手術患者は術後に種々の程度の腹部の膨満感,曖気の不能や上腹部不快感を訴えるようである.これらの症状はgas-bloat syndromeとして特徴づけられ,手術後患者の10〜50%に出現するという.この術後の"bloating"を最小限にとどめるために,種々の大きさの食道内ブジー,形成皺壁の締まり具合,さらには皺壁の長さなどが検討されている.
1977年,Donahue & BombeckはNissen手術の変法(Floppy Nissen fundoplication以下FNFと略す)を考案した.犬の実験成績では十分に嘔吐が可能であり,このことは病的逆流を無にしながら生理的逆流は温存するという最も厳しい要求に応じ得ることを示したと述べ,臨床例についても良好な成績をあげている.
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