特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
1.精神・神経疾患
脳血管障害
山崎 昌子
1
,
内山 真一郎
1
Masako YAMAZAKI
1
1東京女子医科大学神経内科
pp.404-406
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903899
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はじめに
脳血管障害は的確な診断と治療が予後を大きく左右する.急性期には脳血管障害の機序を同定しながら,患者の全身状態を保つための呼吸および循環動態の管理,頭蓋内圧亢進の治療,二次合併症の予防と治療などの一般的管理を行う必要がある.頭蓋内圧亢進の治療法としては10%グリセロール200〜300mlを1〜2時間かけて,軽症例では1日1〜2回,中等症から重症では1日3〜4回点滴静注する.投与期間は約2週間を目安とし,臨床的に脳浮腫の経過を評価して投与期間を調節する.痙攣の予防や治療には抗てんかん薬,消化管出血予防にはH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬,感染症に対しては抗生物質を投与する.現在,脳血管障害の分類には米国国立神経疾患・脳卒中研究所による脳血管障害分類(第3版)(NINDS-Ⅲ)1)が用いられており(表),本稿ではこの中の脳梗塞と一過性脳虚血発作(TIA)の抗血栓療法について述べる.
脳梗塞はそれぞれ血栓の成因や関与の度合が異なり,病型,病期別に抗血栓療法を考える必要がある2)ので,以下に病型別の治療方針と急性期および慢性期の具体的な治療について示す.
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