Japanese
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脳血管のうち臨床的に問題となる脳動脈の老化病変について,その特徴ともたらす疾患について述べる。脳動脈の老化病変の特色は,脳動脈本来の構造的特徴と密接な関係を有しており,各種の成人発症型脳血管障害の直接原因に深く関わっている。すなわち,主幹脳動脈においては,日本人の脳血栓の主要原因である頭蓋内主幹動脈の粥状硬化の進展や,Willis動脈輪の分岐部berry動脈瘤の形成とその増大には,いずれも加齢が重要な役割を担っている。さらに,脳内動脈においては,血液脳関門やその他の脳動脈における構造上の特徴ゆえに,加齢や高血圧による中膜筋細胞傷害が生じやすくなり,中膜壊死すなわち脳内小動脈瘤を形成し,これらが脳出血を引き起こすばかりでなく,脳深部小梗塞を生じる複数要因となっている。脳実質内細小動脈硬化像は多彩であり,粥状硬化は起始部のごく一部のみで,通常,脳内動脈の内膜肥厚は目立たず,中膜壊死・線維化や石灰化,内膜リポイド症などの特徴像を呈し,加齢や高血圧によって進展する。脳血管性痴呆における脳深部白質のびまん性障害の原因は明確でないが,病変部の細血管の高度な線維性肥厚の他に,病変を支配する髄質動脈や穿通枝動脈にはいずれも中膜障害が高度であった。アミロイドアンギオパチーはAlzheimer痴呆と共通のβアミロイド沈着からなり,その沈着は老化と密接に関係している。
The clinical picture of stroke in Japan has changed its aspect in recent years, that is, it has changed into a senile disease in our country, just same as in Western countries. Especially cerebral infarction has began to account for large numbers of strokes, and besides, it seems to have a tendency to increase among aged people in Japan.
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