Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
脳血管障害患者に排尿障害が多いことは古くから知られており,頻尿,尿失禁および排尿困難などの排尿障害,とくに尿失禁はリハビリテーションの予後とも関係することが指摘されている1〜3)。しかし,脳血管障害に起因する排尿障害の病態生理に関する詳細な研究報告は少ない。その理由の一つに,患者自身があまり排尿異常を訴えないことに加えて,周囲の諦めも手伝い,脳性排尿障害が看過されてきたことが挙げられるが,医師側で頭蓋内病変による排尿障害の複雑な病態を,充分把握しきれなかった点にも問題があろう。しかし,近年排尿生理学の進歩が著しく,下部尿路の神経支配や排尿中枢に至る神経経路の解明と,下部尿路機能検査法の開発が進むにつれて,この問題にもようやく目が向けられるようになってきた。そして脳血管障害発症後,経時的に脳内病変の変化を知ることが可能な脳血管撮影法やコンピューター断層撮影法(CT)の発達と相俟って,脳血管障害と下部尿路機能との関連性も追求されるようになってきた。
私たちは,これまで詳細なurodynamic studyによる下部尿路機能評価と頭部CTの所見をもとに,脳血管障害に基づく排尿異常について検討を行なってきた4〜7)。
Abstract
Cerebrovascular accidents can cause urinary disturbances. During the initial phase, urinary retention is a quite common symptom though urgency incontinence is also occasionally demon-strated. With recovery, the symptoms of urinary frequency, urgency and/or urgency incontinence can be manifest. However, besides these symp-toms it has been reported that urinary retention or dysuria occurred throughout the rehabilitation period.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.