特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
1.精神・神経疾患
重症筋無力症
西谷 裕
1
Hiroshi NISHITANI
1
1京都専売病院神経内科
pp.407-409
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903900
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基本的な事項
1.病因
重症筋無力症(myasthenia gravis:以下,MG)は神経筋接合部のシナプス後膜に集合して存在するアセチルコリン受容体(AchR)蛋白が標的抗原となり,自己免疫性機序により惹起される.
その発症には胸腺の存在が重要な意義を持つと推定されている.胸腺髄質内には筋様細胞(myoid cell)が存在し,その細胞質内にはAchR蛋白も証明されている.1972年以降の研究からMG患者の血清中には抗AchR抗体が70〜80%の高率に証明され,他の類似疾患では全く陰性であることから,本症は胸腺と密接な関係をもつ抗体依存性の高いユニークな自己免疫性疾患として注目されるようになった.
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