特集 薬物療法マニュアル
Ⅴ.悪性腫瘍の薬物療法
肝臓癌
塚田 一博
1
,
霜田 光義
1
,
魚谷 英之
1
Kazuhiro TSUKADA
1
1富山医科薬科大学第2外科
pp.335-337
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903875
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基本的事項と治療戦略
肝臓癌を原発性肝癌と転移性肝癌に分類すると,前者では肝細胞癌,後者では大腸癌の肝転移が主なものである.肝臓癌の診断,治療は最近急速な進歩を遂げたが,なかでも治療法では手術療法の安全性の向上はことにめざましい.更にPEIT(percutaneous-transhepatic ethanol injectiontherapy),TAE(transarterial embolization),PMCT(percutaneous microwave coagulation ther-apy)などの局所療法が確立されつつある.化学療法はこれら局所療法のadjuvant therapyとして用いられるほか,他の治療法の対象とならない高度進行例の治療法として選択される.ときには肝予備能不良例において化学療法が唯一検討されることもある.
肝臓癌への化学療法における投与経路としては,経口ならびに経静脈的投与による全身投与の他に,肝動脈内投与(動注)が挙げられる.特に,肝細胞癌では正常肝組織と腫瘍とでの肝動脈からの血流依存度の差異が顕著であることから,肝動脈からの化学療法が有効と考えられている.動注は薬剤輸送システムdrug delivery system(DDS)を含め様々な工夫のもとに広く行われている.
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