増大号 肝疾患 臨床検査でどう迫る?
序章 総論
—肝臓に起こる主な病気—肝臓癌
岩永 光巨
1,2
,
叶川 直哉
1,2
,
小笠原 定久
1,2
,
加藤 直也
1,2
1千葉大学大学院医学研究院消化器内科学
2千葉大学病院消化器内科
キーワード:
肝臓癌
,
原発性肝癌
,
肝細胞癌
,
HCC
,
薬物療法
Keyword:
肝臓癌
,
原発性肝癌
,
肝細胞癌
,
HCC
,
薬物療法
pp.1038-1043
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203411
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はじめに
肝臓癌,すなわち原発性肝癌は肝臓を原発として発生する癌である.原発性肝癌には肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC),肝内胆管癌,細胆管細胞癌,胆管囊胞腺癌,混合型肝癌,肝芽腫,未分化癌などが含まれる.「第22回全国原発性肝癌追跡調査報告(2012〜2013)」1)によると,原発性肝癌のうちHCCが全体の91.1%を占め,次いで肝内胆管癌が多く6.4%,HCCと肝内胆管癌の性質を併せもつ混合型肝癌が1.0%であり,その他の組織型の原発性肝癌は1%未満とごく少数であった.原発性肝癌は予後不良の癌であり,部位別でみると男性では世界で2番目に,女性でも6番目に死亡者数が多い癌である2).罹患者数,死亡者数ともに増加傾向で,特にアジアで多いことが知られている.
本稿では原発性肝癌の大部分を占めるHCCに関して概説する.
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