私の工夫—手術・処置・手順
膵頭十二指腸切除術(PD-Ⅲ:今永法)における術後残胃うっ滞防止を意図としたCattell再建法
大井田 尚継
1
,
三宅 洋
1
,
森 健一郎
1
,
天野 定雄
1
,
福澤 正洋
1
Takatsugu OIDA
1
1日本大学医学部第1外科
pp.660-661
発行日 1999年5月20日
Published Date 1999/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903619
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1.背景
最近の術前術後管理法の進歩や手術手技の改良により膵頭十二指腸切除術(PD)はより安全に施行可能となったが,今なお手術侵襲は大きく,さらに術後のQOLを考慮した再建術式が重要視されてきた.このような背景の中,術後の消化吸収能に優れていることや1),食物の胆道内への逆流が見られるものの胆管炎の発生頻度が低いこと2)から,Child法3)より生理的な今永法4)が見直されるようになった.筆者らもPD術後の再建法として今永法を行ってきた.しかし膵液瘻などの合併症が無いにもかかわらず術後早期に残胃うっ滞により経口摂取が不良な例を経験した.一方PD術を受ける患者は総じて術前術後の入院日数などが他の術式によるものと比べ長い傾向にあり,早期退院が可能となるべく術式の選択も必要と考える.そこで今永法における残胃うっ滞を防止し,術後早期から十分な経口摂取を可能とすべく意図してCattell法5)を採用し良好な結果を得ている.そこで今回われわれが行っているCattell法による再建時の留意点について述べる.
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