膵臓手術の要点—血管処理からみた術式の展開・3
膵頭十二指腸切除術
加藤 紘之
1
,
田辺 達三
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
奥芝 俊一
1
,
中嶋 公博
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.1161-1165
発行日 1990年9月20日
Published Date 1990/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900187
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はじめに
膵癌の治療成績が絶望的な状態にあり,欧米ではきわめて限られた症例にしか切除術を適応しない外科医が多い.しかしBrooksら1)は,依然として膵全摘出術の有用性を述べ,また3年生存率34%,5年生存率15%をあげているごとく,外科医の努力は続けられている.近年の画像診断,血清学的診断能の向上は近い将来,膵癌の早期診断を可能にするに違いないことを考えると,積極的切除の意義は捨てがたいものがある2〜6).
膵癌切除の困難性は門脈浸潤,腸間膜浸潤が早くからみられるためである.したがって,広範な合併切除が必要になることもあるが,血管走行を十分に把握し,温存されるべき臓器の血行が確保されれば,そう危険な手術ではない.このシリーズでは,拡大郭清手術を中心とする手術の概要とコツを述べる.
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