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特集 切除標本取扱いガイドライン—癌取扱い規約に基づいた正しい取扱い法と肉眼所見の記載法
胆嚢・胆管癌切除標本の取扱い(2)
Dissecting method of resected specimens for biliary tract cancer
安保 義恭
1
,
近藤 哲
1
,
平野 聡
1
,
近江 亮
1
,
加藤 紘之
1
Yoshiyasu ANBO
1
1北海道大学医学部第2外科
キーワード:
胆道癌取扱い規約
,
標本スライス
Keyword:
胆道癌取扱い規約
,
標本スライス
pp.631-635
発行日 1999年5月20日
Published Date 1999/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903611
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はじめに
胆道癌では,腫瘍の原発部位や進行度によって切除術式が選択される.進行癌では,肝臓や十二指腸など他臓器の同時切除も多く,腫瘍と他臓器との立体的な位置関係や,剥離面は複雑になりがちである.このような標本から総合的進行度や手術根治度を評価するためには,胆道癌取扱い規約1)に定められた各所見を肉眼的,病理学的に正確に判定できるよう標本を取扱う必要がある.特に腫瘍浸潤部や切除縁など重要部分を標本割面上に表わす配慮が必要である.このためわれわれは,術前診断と切除に関わった外科医自らが切除標本をスライスし,関心領域を割面に出すことが標本整理の柱と考え実行してきた.また,術前の画像所見と実際のスライス標本所見を対比することが,術前診断へのフィードバックにつながっている.なお,固定標本のスライスは病理医の同意を得た上で自ら行っているが,病理医の切り出しに立ち会って,その場で割面所見を確認するだけでも有意義である.以下本稿では,当科で行っている標本整理法を順を追って述べる.標本整理は観察と記録の積み重ね作業であり手間がかかるため,日常業務が終了した夕刻から数時間をかけ,数人の外科医で作業している.
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