特集 胆囊癌診療の現況
5 .トピックス(2)早期の胆囊癌はあるのか?
石原 慎
1
,
伊東 昌広
2
,
浅野 之夫
2
,
堀口 明彦
2
1藤田医科大学地域医療学
2藤田医科大学ばんたね病院外科
キーワード:
早期胆囊癌
,
T1 胆囊癌
,
T1a
,
T1b
,
胆道癌取扱い規約
Keyword:
早期胆囊癌
,
T1 胆囊癌
,
T1a
,
T1b
,
胆道癌取扱い規約
pp.205-209
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000654
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
早期胆囊癌(early gallbladder cancer)の定義はたいへん難しい.なぜなら,何をもって早期とするのかは,個々人の感覚により左右されるからである.そこで,ここでは局所進展度(contiguous extent)がT1 の胆囊癌を早期と定義した.日本の胆道癌登録の成績ではT1a の5 年生存率は92.5%,T1b は87.2%であった.T1 でリンパ節転移のないStageⅠの5 年生存率(5 year survivalrate)は91.1%であった.領域リンパ節(regional lymph node)に転移を認める症例は,5 年生存率が28.5%であった.リンパ節転移がある症例を早期とするか否かは議論が残るところである.T1a 胆囊癌の治療法は,全層胆囊摘出術(simplecholecystectomy)でコンセンサスがある.T1b 胆囊癌では,切除範囲やリンパ節郭清の有無につきコンセンサスがない.腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy)に関しては,大規模研究の結果が待たれる.今後,早期の定義については,専門家集団による議論が必要である.
Copyright © 2019, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.