カラーグラフ 正しい外科切除標本の取り扱い方・16
胆嚢・胆管の切除標本の取り扱い方
鈴木 哲也
1
,
松本 由朗
1
Tetsuya SUZUKI
1
1山梨医科大学第1外科
pp.871-876
発行日 2002年7月20日
Published Date 2002/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904909
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はじめに
近年の画像診断の進歩により,以前では術前に診断しえなかったような微細な病変の診断が可能になりつつある.しかし,とくに肝門部領域は胆管系,動脈系および門脈系のそれぞれの脈管が複雑に入り組んでおり,この領域の腫瘍およびその進展範囲を正確に診断することは,いまだもって困難である場合に遭遇する.われわれ外科医は術前から術中,さらに術後の病理標本の処理に至るすべての段階で,これら病態の臨床的処理にかかわるわけであり,病理標本の取り扱いは,術前診断の確認,手術の根治性の確認,さらには術後治療方針などを決定するための貴重な情報を得る最終にして最重要な手段であり,慎重を期さなければならない.
今回,胆管および胆嚢の病理標本の取り扱いに関しては,筆者らの施設でこの領域の疾患の発生に関与すると考え,とくに重要視している先天性胆道拡張症(以下,拡張症)および膵・胆管合流異常(以下,合流異常)を念頭に置いてその取り扱いに言及する.
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