癌の化学療法レビュー・9
膵癌・胆道癌の化学療法
市川 度
1
,
仁瓶 善郎
,
杉原 健一
Wataru ICHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
pp.121-125
発行日 1999年1月20日
Published Date 1999/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903510
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はじめに
膵癌・胆道癌は,抗癌剤に反応しにくい癌腫である.一般に,膵癌・胆道癌では,desmoplastic reactionと呼ばれる,癌腫周囲の間質増生を伴うことが多い.この間質増生のため,画像診断で癌腫の大きさを正確に評価することが困難となる.
現在までに,種々の抗癌剤が使用されてきたが,多施設共同研究で20%以上の奏効率が得られた単剤および多剤併用療法は存在しない.膵癌・胆道癌の化学療法の歴史は,単施設での優れた奏効率が報告されると,多施設共同で追認試験が行われ,奏効率が従来の治療法と大差ないと報告されることの繰り返しであった.この理由として,先に述べた画像診断上の評価の困難さのみならず,単施設での抗腫瘍効果の評価が一定の基準で行われていなかった可能性や,1985年以前のCT検査導入前の報告では,肝腫大などの腹部理学的所見による甘い基準で評価が行われていたことによる可能性が挙げられる1).
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