癌の化学療法レビュー・7
乳癌の薬物療法
市川 度
1
,
清水 千佳子
1
,
長内 孝之
1
,
仁瓶 善郎
1
,
杉原 健一
1
Wataru ICHKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
pp.1477-1485
発行日 1998年11月20日
Published Date 1998/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903450
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はじめに
乳癌は固形癌の中では化学療法が奏効しやすい腫瘍に分類され,化学療法が乳癌治療に果たす役割は非常に大きい.また,固形癌の化学療法の歴史は,乳癌を中心に発展してきたといっても過言ではない.
乳癌の薬物療法に特徴的なことは,内分泌療法も有効なことがあげられよう.乳癌の増殖因子であるestrogen(女性ホルモンの総称,estradiolが最も強力)は,癌細胞の核に存在するestrogen receptor(ER)に結合する1).この結果,DNAのhormone responsive elementが刺激され,auto-crineやparacrineに各種の蛋白や成長因子が産生され,癌細胞は増殖する.このため,内分泌療法によりestrogen作用を阻止することは抗腫瘍効果につながる1).
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