癌の化学療法レビュー・5
胃癌の化学療法
市川 度
1
,
仁瓶 善郎
1
,
杉原 健一
1
Wataru ICHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
pp.1203-1209
発行日 1998年9月20日
Published Date 1998/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903286
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はじめに
従来,消化器癌は抗癌剤に対する感受性が低いとされてきた.しかし,近年では,5-fluorouracil(5-FU)のbiochemical modulation(BCM)やcisplatin(CDDP)の導入に伴い,切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法では高い奏効率が報告されるようになってきた.
また,切除不能進行胃癌における,best suppor-tive therapy(BST)群と化学療法施行群の3つの無作為比較試験では,生存期間中央値(MST)はBST群3〜4か月,化学療法施行群で9〜12.3か月であり,化学療法が延命に寄与することが示唆された(表1).さらに,Glimeliusら1)はquality of life(QOL)の視点から比較試験を行い,BST群の20%(6/30)に対して化学療法群では45%(14/31)の症例でQOLの改善,維持が得られることを報告している.
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