癌の化学療法レビュー・6
大腸癌の化学療法
市川 度
1
,
仁瓶 善郎
1
,
杉原 健一
1
Wataru ICHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
pp.1313-1320
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903308
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はじめに
最近増加傾向にある大腸癌に対する治療の主軸は外科手術である.本邦における大腸癌に対する手術治療成績の向上は著しく,原発巣の切除率は85〜95%であり,治癒切除率は70〜80%に達している1).しかし,約20〜30%に再発・死亡を認め,その原因は肝転移,局所再発が大半を占めている.肝転移に対しては積極的に肝切除術が行われ,5年生存率は30〜40%と外科治療成績の向上が認められものの,肝切除の可能な症例は30〜40%に過ぎない1).したがって,大腸癌の予後のさらなる向上には化学療法や放射線療法などによる補助療法や再発症例に対する有効な治療法の導入が不可欠である.
元来,大腸癌は薬剤抵抗性の腫瘍であり,進行再発大腸癌に対する従来の化学療法には限界がみられた.しかし,合理的な抗癌剤の投与方法,投与様式が研究され,biochemical modulation(BCM)の概念の臨床導入により,現在,大腸癌の化学療法はまさに黎明期を迎えている.
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