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特集 図解 成人鼠径ヘルニア手術
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術
Laparoscopic inguinal hernia repair
松本 純夫
1
Sumio MATSUMOTO
1
1藤田保健衛生大学第二教育病院外科
キーワード:
腹腔鏡
,
鼠径ヘルニア
,
ヘルニア修復術
Keyword:
腹腔鏡
,
鼠径ヘルニア
,
ヘルニア修復術
pp.879-886
発行日 1996年7月20日
Published Date 1996/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902343
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腹腔から鼠径ヘルニアを観察すると下腹壁動静脈の隆起を境にして外側が外鼠径ヘルニア,内側が内鼠径ヘルニアである.外腸骨静脈の内側に陥凹があれば大腿ヘルニアである.腹膜を切開して腹膜前層を剥離し,ヘルニア嚢を処理してから3か所のヘルニア発生部位を覆うようにポリプロピレンメッシュを展開して,Cooper靱帯,恥骨,腹直筋,腹横筋,腸骨恥骨靱帯(iliopubic tract)にヘルニアステイプラーで固定する.そのときに術後疼痛の原因となるため陰部大腿神経にステイプルをかけないように注意する.腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術のもう一つの方法は臍下部で腹膜前層に入り,腹膜外腔で剥離をすすめて鼠径部にいたり,メッシュでヘルニアを同様に覆う方法で内鼠径ヘルニアは本法の方が適しているように思われる.いずれも手術が開始されてから1996年現在でおよそ5年の歴史しかないので追跡期間が短い.そのため従来法との再発率の比較が十分になされたとは言いがたい.しかし,術後の疼痛は少ない利点があるのは事実であり,今後症例を積み重ねて慎重に成績を見極める必要がある.
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