特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
11.ヘルニア手術
小児のヘルニア手術
石田 治雄
1
1東京都立清瀬小児病院外科
pp.232-234
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鼠径ヘルニアは小児外科領域では最も卑近な疾患であり,最近ではデイサージャリーで手術を行っているところが増えたが,4〜5日から1週間の入院のところもある.今回は1泊2日の管理を考えた.手術時間は10〜20分のもので,全身的な影響は少ない手術であるので,手術法の違いによる管理の違いはほとんどなく麻酔によるところが大きい.したがって,帰室時の呼吸状況,覚醒状況の観察は気管内挿管の有無で異なる.これにより術後の電解質維持輸液の必要性や継続時間が違ってくるが,全覚醒までは注意深い管理が必要である.ついで,合併症に備え鼠径部,精巣の観察が大切である.帰室時の状態を記載しておくことは,これと違った状態を示したときの判断基準となる.通常,手術後60分以後は平常生活ができるが,食欲不振,発熱,創部痛を訴えることが約20〜30%にみられるので,デイサージャリーでは夜間の電話対応も考慮しておかねばならない.手術法,麻酔法の進歩により日帰り手術までできるので,簡単な手術と考えられがちであるが,熟練した者が取り扱うからできるものであることも念頭に置く必要がある.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.