特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
11.ヘルニア手術
成人の鼠径部ヘルニア手術
笹壁 弘嗣
1
,
門田 俊夫
1
1羽生病院外科
pp.227-231
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902052
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鼠径部ヘルニアの手術は,外科研修医になって初めて行う代表的な待機的手術であることから「簡単な手術」と考えられがちだが,鼠径部の解剖学的位置関係を完全に理解するのは意外に難しい.逆にそれがきちんと理解できれば,どの術式を選択するにせよ術後管理は自ずと容易になる.もともと手術侵襲は少ない手術であるので,リスクの高い患者でも待機的にヘルニア根治術を行うぶんには大きなトラブルは起こりにくい.しかし,全身の術前評価は決して疎かにはできず,慢性呼吸器疾患,大腸癌,前立腺肥大など,ヘルニアの発症誘因となる疾患が隠れていないかを常に念頭において患者を診ていく必要がある.また,嵌頓ヘルニアは原則として早期手術が望ましい.したがって,全身状態の不良な嵌頓ヘルニア患者に対しては術前・術後管理に細心の注意を払わなければならない.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.