特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
10.血管系の手術
急性腸間膜血管閉塞症手術
太田 敬
1
1愛知医科大学第2外科
pp.222-226
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902051
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急性腸管膜血管閉塞症(表)が発生すると体液や血漿が腸管内へ漏出し,循環血液量の減少からショックとなり,代謝性アシドーシスが進む.やがて腸管内へ出血が起こり,腸管壁の透過性亢進や穿孔から腹膜炎が起こる.たとえ血行再建術や壊死腸管の切除が行われたとしても,治療が遅れれば活性酸素(フリーラジカル),血小板活性化因子(PAF),アラキドン酸代謝産物,エンドトキシンなどの炎症性メディエーターは,循環不全のみならず,心,肺,腎などの主要臓器へ影響を及ぼし続ける1,2).したがって,術後1週間の患者管理では,術前・術中から続く体液喪失,感染,多臓器不全に対する治療とともに,残存腸管虚血に対する術後の配慮が必要となる.
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